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業務委託契約の仕方と契約書の作り方

業務委託契約の仕方と契約書の作り方

広告運用を業務委託する際は、準委任契約を結ぶのが一般的です。業務委託契約では、不要なトラブルを避けるために「業務委託契約書」の作成が必須となります。

広告運用を業務委託する際は、広告業務を発注する側に広告内容や自社製品に関する秘密保持のリスクがあるため、必ず広告運用を依頼する(発注企業)側が契約書を作成しましょう。

以下では、業務委託契約書に記載すべき13の内容と、契約書の作り方を解説します。

業務委託契約書の作り方と記載すべき13の内容

業務委託契約書に記載すべき13の内容は、以下の通りです。

  1. 委託業務の内容
  2. 委託料(報酬額)
  3. 支払条件、支払時期、支払い方法など
  4. 成果物の権利
  5. 再委託の可否
  6. 秘密保持に関する条項
  7. 反社会的勢力の排除
  8. 禁止事項の詳細
  9. 契約解除の条件
  10. 損害賠償について
  11. 契約期間について
  12. 所轄の裁判所について    
  13. その他の事項

それぞれ解説します。

1.委託業務の内容

まずはじめに、業務委託をする広告の内容や、広告成果物についての詳細を明記しましょう。この内容によって業務委託契約の種類が変わるため、委託内容は非常に重要な項目です。

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2.委託料(報酬額)

委託料とは、広告運用代行業者に支払う報酬です。報酬額がいくらなのか、税抜きと税込み金額を明記しましょう。

3.支払条件、支払時期、支払い方法など

業務委託契約書に記載するのは、委託金額とともに支払い条件や、時期、方法なども明記します。請負契約では、契約書に記載した通りの製品を、納期までに納品しなかった場合、契約不履行となり報酬を支払わないケースがあるため、しっかりと記載しましょう。

4.成果物の権利

業務委託契約では、委託した業務が成果物の納品を目的としていた場合に、その成果物の権利が発注先から発注元に移るのか否かも記載しましょう。広告運用では、著作権や商標権などが絡む取引も多いため、事前に弁護士などに相談した上で契約書を作成すると安心です。

5.再委託の可否

業務委託では、委託した仕事をさらに2次下請けや3次下請けに回すこともあります。このようなケースでは自社の機密事項などが漏れやすくなるリスクがあるため、禁止する場合には、契約書にしっかりと明記しておくことが大切です。

6.秘密保持に関する条項

業務委託契約において最も注意したい項目の1つが、この「秘密保持」に関する条項です。近年は個人情報の管理や企業のコンプライアンスを重視する傾向が強く、自社だけでなく、顧客情報などの取り扱いにも十分な注意が必要です。

もし委託する業務に自社の機密事項や取引先、顧客の情報がある場合には、別途秘密保持契約を交わし、万一に備える必要があります。

7.反社会的勢力の排除

こちらも企業のコンプライアンスに違反しないために注意すべき項目です。自社はもちろんのこと、外注先にも反社会的勢力とのかかわりがないか確認しましょう。

8.禁止事項の詳細

 業務委託契約を結ぶ際に、上記以外の禁止事項があれば記載しましょう。できるだけ詳細に明記することが大切です。

9.契約解除の条件

契約書に記載した内容に違反があった場合などに、契約を解除できる条件を記載しておきます。万一の際に自社を守るための切り札となる条項ですので、あらゆるトラブルを想定して内容を決めましょう。また、契約解除は委託先にとっても一番厳しい条件となるため、常識の範囲内で設定すること。また、契約先と内容をすり合わせながら決めることが重要です。

10.損害賠償について

損害賠償についての項目も、万一の際に有効です。成果物の不備や欠陥、納期の遅れが許されない業務委託契約の場合には、損害賠償に関する条項を設けておきましょう。

11.契約期間について    

契約期間を定めた取引を行う場合には、しっかりとその期間を明記します。契約期間の詳細によっては、契約書にかかる印紙税額が変わるため、こちらにも留意しながら記載しましょう。

12.所轄の裁判所について

業務委託契約書には、万一のトラブルで裁判となった場合に、所轄の裁判所がどこになるかを明記することが大切です。

特に遠方の業者や個人と契約を結ぶ際には、トラブルが発生した際の所轄の裁判所を明記しておかなければ「両者の中間の裁判所」を指定されるケースもあります。

そこで、あらかじめ発注者の最寄りの裁判所を明記しておき、委託先の合意を得ておきましょう。

実際に裁判に発展するトラブルは少ないものの、裁判所を記載しておくことがトラブルの抑止にも繋がります。

13.その他の事項

その他の事項には、上記以外で記載すべき内容があれば明記しましょう。

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業務委託契約書の作成ルール

以下では、業務委託契約書の作り方を解説します。

業務委託契約書は2通作成する

業務委託契約書は、必ず2通作成し、発注元と発注先の両者が保管します。

それぞれに印紙を添付して消印する

業務委託契約書を紙媒体で作成した場合、契約書は「課税文書」となり、印紙税の課税対象となります。後で解説する印紙税額相当の印紙をそれぞれで購入し、契約書に貼付後に消印しましょう。

それぞれに署名・押印して保管する

業務委託契約書を2通作成し、印紙を貼付・消印したら、最後に両者で署名・押印して1通ずつ保管します。

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業務委託契約書の印紙税と支払い方

業務委託契約書には2号文書と7号文書があります。2号文書とは一般的に請負契約を指し、7号文書は継続的に行われる業務委託契約の契約書を指します。

広告運用の場合は、一定期間において継続的な契約を結ぶことが多いため、7号文書となるのが一般的です。

ただし、請負契約で短期の契約を結ぶケースもあるため、以下で2号文書と7号文書の両方を解説します。

2号文書の特徴と印紙税額

2号文書の特徴は、次の2つです。

  • 継続もしくは単発の請負契約で、契約金額に記載のないもの
  • 契約期間が3ヶ月以内で、更新の定めがないもの

上記を満たす契約書には、下記の表にある契約金額(税抜)に応じた印紙税が必要です。

また、印紙税は契約書2通それぞれに契約金額に応じた額の印紙を購入し添付・消印する必要があるため、企業と営業代行者の双方で負担します

印紙税額は、2022年9月現在以下の通りとなっています。

請負契約金額(税抜)と必要な印紙税額
1万円未満非課税
1万円以上100万円未満200円
100万円以上200万円未満400円
200万円以上300万円未満1千円
300万円以上500万円未満2千円
500万円以上1千万円未満1万円
1千万円以上5千万円未満2万円
5千万円以上1億円未満6万円
1億円以上5億円未満10万円
5億円以上10億円未満20万円
10億円以上50億円未満40万円
50億円以上60万円
契約金額の記載がない契約書の場合200円

7号文書の特徴と印紙税額

7号文書の特徴は、次の3つです。

  • 継続する請負契約で、契約金額の記載がないもの。
  • 契約期間の定めがないまま、すでに契約期間が3ヶ月を超えている請負契約書。
  • 請負期間に関係なく、契約更新の定めがあるもの。

上記の請負契約に関しては、一律で4,000円の印紙税が必要となります。

電子契約書なら印紙税が非課税になるのでおすすめ

上記のように、契約金額が大きくなると、印紙税も高額となります。しかし電子契約書を作成すれば、契約書にかかる印紙税が「非課税」となります。

これは印紙税が「紙媒体の課税文書」にかかる税金であるためです。そこで近年は、電子契約書の利用が増えています。